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2010/11/01

西域古典語言學術高峰論壇

中国・吐魯番で開催された「西域古典語言學術高峰論壇 (Turfan Forum on Old Languages of the Silk Road)」に招待され,10月22日から29日まで中国出張。
オーガナイザーのお一人であるハンブルクの王丁さんによれば,今回の学会の参加者は「高峰」と呼ぶに相応しい方々とのことだが,私に関していえば言うまでもなく過褒だ。

  • 10月23日(土)
    前日10月22日に北京入りし,この朝5:30,ホテルのバスで第3ターミナルへ。
    7:30,ウルムチ行きCA1293便に搭乗。
    11:50,定刻通りウルムチ着,機場飯店の向かいのホテルで待機。後に北京大学の朱麗雙さん,中央民族大學の張鐵山先生や,吐魯番博物館のアシスタントで現在民族大に留学中の李剛さんらと合流。
    14:00,参加予定とうかがっていた梅村坦先生にメールすると,階下のレストランで昼食中とのこと。梅村先生に加え,高田時雄先生,楊富學先生,鈴木健太郎さん,さらにやはり中央民族大学に滞在中の Desmond Durkin-Meisterernst 先生らと同席。
    15:10,マイクロバスで吐魯番へ向けて出発。新疆大学前でAbdurishid Yakup 先生,段晴先生,Israpil Yusup先生らをピックアップ。寝不足につき車内ではほとんど寝ていたが,トゥルファン盆地に入ったところで,2年前には無かった発電用風車が多数建設されているのは驚いた。
    18:40,宿舎の火州大酒店着。ホテルには有線・無線ともにネットなし。先に到着していた吉田豊先生と同じ資料を扱うので,明日の報告内容について相談。
    21:00,歓迎の晩餐会。張鐵山先生,王啓濤先生,楊富學先生,Alexey Muravyev先生と同席。途中で榮新江先生や岩尾一史さんらも到着。
    23:00,解散。

  • 10月24日(日)
    9:30,ホテルを出発し,学会会場となる吐魯番博物館へ。2年前の国際トゥルファン学会もこの博物館を会場に予定していたのだが,工事の遅れから間に合わなかったもの。
    新疆地区の政治関係者のあいさつの後,記念写真。
    李肖「吐魯番学研究院主旨発現」
    Nicholas Sims-Williams, Medical Texts from Turfan in Syriac and New Persian.
    梅村坦,On the Internatinal Project for Non-Chinese Manuscripts of Bezeklik.
    榮新江「和田出土漢語于闐語雙語文書」
    昼食。
    15:30,午後のセッションの最初の報告を務める。
    松井太,A Sogdian-Uigur Bilingual Fragment from the Arat Collection:今春の在外研究中に発見した資料を早速報告。しかしソグド=ウイグル問題は難しい。
    吉田豊,New Turco-Sogdian documents from the late Professor Arat's photograph collection:私の報告で紹介した断片のソグド語部分を,もう1点のソグド語書簡と併せて報告。私は写真のプレゼンテーションでサポート。
    孟憲實「高昌國翻訳問題」
    Desmond Durkin-Meisterernst, Translation Features in Sogdian Manichaean Texts.
    牛汝極「吐魯番叙利亞文写本的発現和研究」:キャンセル。
    Abdurishid Yakup, Multillingual Source of the Old Uyghur Translation of the Arya-aparamitāyur-jñāna-nāma-mahāyāna Sūtra.
    楊富學「甘州回鶻行用文字」
    王丁「中古漢文写本碑志中的胡化現象」
    20:00,晩餐会。お決まりのウイグル舞踊も出てきた。
    散会後,高田先生・梅村先生・王丁先生・李樹輝先生とロビーでワイン,その後なぜか階下のカラオケに。踊りながら熱唱する北京大学の某先生のお姿を拝見(笑)
    24:00,就寝。

  • 10月25日(月)
    9:30,会場へ。
    張鐵山「吐魯番柏孜克里克出土兩葉回鶻文『慈悲道場懺法』殘葉研究」
    Israpil Yusup「文殊山石窟回鶻語銘文」:ご令嬢で中央民族大講師のDilaraさんがキャンセルされたのに代わってのご報告。文殊山石窟銘文は私も2006年に参観したが,我々外国人がこの手の石窟銘文を写真つきで公刊することは難しい。Israpil先生は最近ウルムチ博物館館長の重職から引退され,現在は研究員の肩書とのことだが,ご健筆と今回の資料の公刊を鶴首したい。
    岩尾一史,Old Tibetan Land Registers from Central Asia.
    朱麗雙「敦煌藏文文書 P. t. 960 所記于闐的佛像・伽藍與僧伽」
    Elica Hunter, The Multi-lingual Christian Library at Turfan.
    Alexey Muravyev, Bilingualism in the Christian Community of Turfan.
    徐文堪「古代西域的語言和文字」
    朱玉麒「清末民初中國学者對西域胡語文書的認識」
    葉奕良「(題目失記)」葉先生はペルシア語文献の専門家。題目は提示されなかったと記憶する。
    Ursula, Sims-Williams, Revisiting the International Dunhuang Project Database.
    慶昭蓉「亀茲語・印度俗語雙語木簡」
    荻原裕敏「關於吐火羅A語文獻的幾點新發現」
    段晴,A survey of a new collection of Khotanese findings at the Urumqi Museum:2009年新發現,ウルムチ博物館所蔵文書の紹介。新發現の木簡の契約文書はほとんど奴隷賣買だという。冒頭,師事された季羨林・Emmerickの逝去を追悼されていたのが印象的。
    Dieter Maue, New Brahmi manuscripts from Bezeklik.
    話が佳境にさしかかったところで,しかし,新疆地区の党書記が博物館を訪問するため,18;30で強制終了。これにはMaue先生もおかんむりだった。
    この日は宴会はなく,ホテルのレストランで夕食。しかし途中からワインを買いだして長々と話し込むことになった。

  • 10月26日(火)
    9:30,昨日中断されたMaue先生の報告のやり直しから開始。
    王啓濤「吐魯番出土漢文獻的借詞」:羽田亨,羽渕了溪,石塚晴道の研究にも言及されていた。
    李樹輝「俄国彼德堡藏 SI 2Kr 16號回鶻文文書研究」:標題文書の整理番号は正しくはSI 2Kr 17 のはず。
    陳愛峰「高昌回鶻與西夏的関係」
    李剛「回鶻文奴隷賣買文書初探」
    昼食の後,閉会式。Sims-Williams, Durkin-Meisiterersnt, 榮新江,高田時雄の4先生による総括。かつての研究グループ「ヤントン」についての高田先生の回想は,中国人研究者にも興味深かったらしい。
    休憩をはさんで,夕方から新装なった吐魯番博物館の展示や所蔵品を観覧。出土写本室に展示されている資料は数は多くない。至元通行宝鈔の紙質が興味深く思われる。待機していた若い女性館員から,各種文書の内容や特徴について,いろいろと質問攻めに遇う。やはり非漢語文献に関する情報は必ずしも周知されていないようだ。その後,吐魯番学研究院の図書室を参観。日本人研究者の抜刷ボックスがしっかりと保管されているのは感慨深い。拙稿の載るものを含め,『吐魯番學研究』近刊号を拝領。
    18:30,ウルムチへ向かう梅村先生・鈴木さんを見送る。
    20:00,学会最後の晩餐会。

  • 10月27日(水)
    エクスカーション第1日。
    ベゼクリク石窟→勝金店→バダム墓地→トヨク石窟→クムターク沙漠公園。ベゼクリクでは,栄新江先生に促され,二重窟として著名な第38窟について説明させられるはめになってしまった。
    6月にベルリンで李肖先生が紹介されたように,トヨク石窟はこの間に再発掘調査が行なわれている。その後の石窟保護のため,壁画その他は参観できず。ベルリンで映写されたウイグル語銘文も実見できず,まことに残念。
    夕食は沙漠公園近郊のレストラン。散会後,鄯善市内の西游酒店に宿泊。

  • 10月28日(木)
    エクスカーション第2日。
    10:00,西游酒店を出発,一路ウルムチへ向かう。
    12:30,塩湖の近くのレストランで昼食。
    15:00,ウルムチ博物館。新疆訪問は初めてというMaue先生はブラーフミー資料に興味津々のご様子だった。
    17:00,考古研究所へ。ミイラなど。
    18:00,中和大酒店に到着。このホテルはネット完備。Maue先生・荻原裕敏さん・慶昭蓉さんに重要な資料の写真を送る。
    20:00,最終の晩餐会。
    22:00,就寝。

  • 10月29日(金)
    7:50,ホテルを出発,ウルムチ空港へ。徐文堪先生や学会スタッフは第3ターミナル,CA便を使う私は第1ターミナル。学会スタッフはひょっとして新設の吐魯番空港へ向かうのか?
    8:30,チェックイン。荷物はそのまま羽田へスルーされるという。確かに羽田便も発券されチェックインも完了しているようだが,いささか不安。
    9:50,CA1296便に搭乗,離陸。
    13:15,予定通り北京着陸。荷物をピックアップせず乗継ぎカウンターから国際線ターミナルへ向かう。
    13:40,出国手続も完了。ただし,羽田行きCA183便のゲートは未定。パスポートをスキャンしてアカウントをくれるという無料WiFIを試してみる。Skypeも可能,家族と通話。今後の海外出張に関係する種々のメールをチェック。
    16:40,階下のE57ゲートに移動。これはバス搭乗用のゲート。
    17:05,搭乗開始。
    18:00,離陸。
    21:50,羽田国際ターミナルに着陸,入国。ウルムチで預けた荷物はちゃんと出てきた。北京空港の整備ぶりはめざましいと実感。モノレールで都内の宿舎に向かう。

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